弁護士が立て替えることも
私が消費者金融業者で勤務していた頃に担当した任意整理で、とても人間味溢れる弁護士がいましたので、ここで紹介したいと思います。
私の仕事はいかに自分の勤めている会社に有利な条件で和解するかということです。そして、弁護士は当然、いかに債務者にとって有利な条件で和解するかが仕事になります。
任意整理での交渉は、お互いが逆の目標に向かって話し合いをしなければいけませんので、どちらかがもしくはどちらも妥協していかなくてはいけません。
お互いが妥協しなければ交渉が決裂してしまいますので、それはこちらにとってもあちらにとっても不味い結果となってしまいます。
その人間味溢れる弁護士との交渉は、両者の主張する条件の丁度中間で落ち着きました。1回目の交渉でお互いの主張を言い合い、2回目の交渉ではお互いが歩み寄って和解が成立したのです。
ただ、弁護士の中にはまったくこちらの主張を聞き入れない人もいますので、この弁護士は柔軟性があったということです。
そして、和解後にその債務者の入金が滞ってしまったのです。しかも、その弁護士が言うには、債務者と連絡がとれないということでした。
弁護士が連絡がとれないならこちらとしてはお手上げで、弁護士に辞任してもらって後はこちらで回収するしかありません。
しかし、そこでその弁護士は、自分が入金を立て替えると言ったのです。ただ、延滞分全額は厳しいということで、半分だけをまずは入金してもらいました。
その後も、弁護士は債務者の支払いが遅れるたびに立て替えるようになりました。私が支払いを立て替える弁護士も珍しいと伝えると、その弁護士は、最後までその債務者を面倒みたいということでした。
この弁護士はとても立派だと思います。こうした債務者思いの弁護士ばかりだと本当に良いと思います。
でも、実際にはこうした債務者思いの弁護士は少数派で、債務者や債権者に対して高圧的な態度で接する弁護士が多いと思います。