
支払猶予制度(モラトリアム)
2009年9月、鳩山新政権で金融・郵政問題担当相に就いた国民新党の亀井静香代表が衝撃的な発言をしました。
業績の悪化した中小企業や個人に対して、銀行からの借金の元本返済を猶予する「支払猶予制度(モラトリアム)」を導入すると表明したからです。
個人の借金で支払いが猶予されるのが住宅ローンです。2009年9月現在、不況による収入減やボーナスカット、失業などにより、住宅ローンを支払えない人が急増しています。
持ち家を競売する人が続出して、米国のサブプライムローンを連想させるような状況となっています。
亀井金融・郵政問題担当相はそうした背景から、借金の元本返済を猶予する制度を作るというのですが、金融機関からはかなり反発されているようです。
金融機関はこの制度ができると、計画的な経営ができなくなる可能性があります。民間の貸付契約に国が借り手側に有利な契約変更を一方的に迫ることになり、後出しジャンケンにも似た違和感があると、金融機関は主張しています。
確かに、両者が同意した契約内容を後から一方的にどちらかに有利にするのはおかしいといえます。でも、それは過払い金返還請求でも同じことです。
過払い金返還請求は、裁判所が国の制度を違反として、契約の後で借主に圧倒的有利な状況を与えていると言えるものです。
消費者保護が叫ばれるようになり、金融機関はそのしわ寄せをくらっていると言えそうですね。

