Y田さんの債務整理物語(7)いよいよ始まった返済生活
■自宅だけは失いたくない!
全てを奥さんに打ち明けたY田さん。
奥さんは専業主婦をやめて、近所で仕事を探し働き始めました。
子供たちにも、会社の倒産を打ち明け、今後は節約生活になることを説明しました。
Y田さんもアルバイトの日を増やしました。
仕事を探し、面接に行く必要などもありますからY田さんは毎日働くことはできません。
夫婦の収入を合わせると毎月30万円ほどになります。
しかし現実は甘くありません。
お金が全然足りないのです。
30万円の収入があっても、住宅ローンと消費者金融への借金返済を済ませると手元に残るお金はたったの13万円です。
しかも、年35万円のボーナス返済。
税金の支払い、大学の費用、進学費用。
4人の生活を今までどおりに支えるには、明らかにお金が足りません。
預貯金を切り崩そうにも、住宅購入の頭金に当ててしまっていたためほとんど貯金がない状況。
親兄弟も金銭的に余裕があるわけではないので、頼ることもできません。
いっそ自己破産してしまおうか……?
そんな思いがY田さんの頭をよぎります。
自己破産をすれば、借金が全て帳消しになる。
一度ゼロに立ち戻れば、生活も立て直しやすくなるのでは?
Y田さんは奥さんに「自己破産しないか?」と提案してみました。
奥さんは激怒しました。
「自己破産したら、家まで取られるのよ!そんな簡単にできるわけないでしょう!」
ここまで奥さんが怒るところを見たのは初めてです。
Y田さんはこのときの奥さんの恐ろしい表情をなかなか忘れることができませんでした。