
Y田さんの債務整理物語(3)増え続ける借金と破綻の足音
いよいよY田さんの気持ちは焦ります。
失業給付を受けられる期限が来月まで迫っているからです。
しかし、何社受けても仕事が見つかりません。
Y田さんは長年営業職を務めており、営業力には自信がありました。
ところが、年齢がネックとなって就職先が決まらないのです。
家から遠いところで、なれないアルバイトもしました。
しかし、家計への振込み分には全然足りません。
毎月の借金返済金は引き落とされてしまいます。
これを埋めるために、また借金をするという負のスパイラルです。
そして来月には失業給付が打ち切られ、ますますお金が足りなくなります。
もうこれ以上、消費者金融に手を出すわけにはいきません。
Y田さんが思いついた最終手段。
それが、銀行口座に残っていた50万円の融資枠でした。
これはY田さんが失業する前に作られた枠でした。
消費者金融からは、どんどん借りにくくなっています。
借金残高が増えるたびに、審査が厳しくなるからです。
しかし、昔からの枠なら無審査でお金を借りることができます。
ここでY田さんに悪魔がささやきます。
Y田さんは銀行から50万円を引き出すと、なんと、以前開設していたFX(外国為替取引)用の口座に入金したのです。
かつては、「ちょこっとだけお小遣いが増えたらいいな」とお小遣いの範囲内で軽い気持ちで行っていた取引です。
それがY田さんの人生をかけた大勝負になってしまいました。
運命の神様は微笑みませんでした。
Y田さんに残されていた50万円はあっという間に溶けてしまったのです。

