休職の場合の給与差押
債務者が病気などの理由で休職している場合でも、給与の差押の手続きをすることは可能です。
休職によって給与が債務者に支払われていないときには、債務者の勤務先は給与の差押をしている債権者に対してお金を支払う必要はありません。
ただ、債務者が仕事に復帰し、給与が支払われることになったときには、法律で定められた金額を給与から差し引いて、差し引いた分を給与の差押をしている債権者に支払わなければいけません。
また、債務者と勤務先が共謀して、本当は給与が支払われているにもかかわらず、休職として債務の返済を逃れようとした場合には、債務者の勤務先が裁判所からの命令に違反したとして責任を取らなくてはいけません。
また、債務者の勤務先は、債務者本人が休職中ならそのことを申し出なくてはいけませんし、債務者本人が復職したときには、速やかにそのことを給与の差押をした債権者に報告し、返済を始めなくてはいけません。
とにかく、給与の差押は債務者に出されるものではなく、債務者の勤務先に出されるものです。給与の差押が終了するまでは、債務者の勤務先はしっかりと返済をする責任を負うことになるのです。
債務者が親族の会社に勤務しているというように、勤務先が債務者をかばいたいという場合もあると思いますが、休職や退職と嘘をついて、返済から逃れる行為は社会的に許されることではありません。
それに、給与の差押を拒否すると言うことは、借金を踏み倒す行為でもあります。そうした行為に手を貸すことが、債務者本人のためになるとは思えませんよね。
実際、債務者の勤務先が本人をかばって給与の差押に応じないということは結構ありますが、その場合には勤務先に対して訴訟が起こされ、結局は勤務先が支払いをすることになるだけです。