給与差押額
給与の差押という強制執行は、される側とすれば大きな痛手になると思います。給与の差押は、わかりやすく言えば給与の一部を天引きされて、その天引分が給与の差押をした債権者に支払われるというものです。
ここで大事なことは、給与の差押では給与全額が差押えられるわけではなく、その一部が差押えられるということです。
給与の全額を差押えられれば、借金の返済どころかいきなり生活ができなくなりますよね。それでは生きる権利もないのかということで、給与の一部しか差押ができなくなっているのです。
民事執行法では、給与の手取り額の4分の3が差押禁止財産と定められています。つまり、給与の差押で没収されてしまう金額は、給与の手取りの4分の1ということです。
給与の手取り額が20万円の人なら、5万円が差押えられてしまうということで、実際に本人が受け取れる給与は15万円になってしまうということです。
また、給与の手取り額の4分の3が33万円以上になる場合には、33万円が差押禁止財産となります。
給与の手取り額が50万円だという人は、33万円が実際に受け取れる金額になり、残りの17万円が差押されることになります。
生活にゆとりのある債務者はいないと思います。ゆとりがあるぐらいなら借金を返済すると思います。経済的にかなり厳しい状態で、さらに給与の差押を受けると、生活していくのは本当に大変だと思います。
でも、そうなった原因は自分にあると思います。借金が返せなくなるのは必ずしも本人が原因とは言えませんが、給与の差押を受けるのは間違いなく本人に原因があるからです。
給与の差押は、債権者が再三話し合いを持とうとしたにもかかわらず、債務者が全く耳を貸さなかったという場合に実行される債権者の最終手段です。
債務者に少しでも支払う意志が見えるのなら、債権者は給与の差押をしないのが普通です。