強制執行までの流れ
債務者にとって1番注意しなければならない強制執行について、その流れを説明します。
強制執行をするためには、債権者が債務名義というものを取得しなければいけません。債務名義とはわかりやすく言えば、国に保証された債権です。
債務名義を取得するには、民事訴訟で判決をもらうか、法廷和解や調停和解をするか、公正証書を作成するかなどになります。
民事訴訟の場合には確定判決はもちろん、仮執行宣言付の判決でも強制執行が可能です。
法廷和解や調停和解の場合には、和解後の返済を債務者が延滞して期限の利益を喪失すると、和解調書によって強制執行をすることができます。
給与の差押では、債権者が裁判所に強制執行の申立をすると、裁判所は債務者の給与を支払っている人や会社のもとに、差押命令の通知を発送します。
給与の支払い者は、この差押命令に背いた場合には強制執行を申立てた債権者から訴訟され、自分が支払いをしなくてはならなくなりますので、通常は逆らうことができません。
給与の支払い者は法律で決められた給与の一部を本人には支払わず、強制執行を申立てた債権者に支払うことになります。
給与の差押は簡単に言えば給与の天引きになり、天引きされたお金は債権者に渡ることになるということなのです。
給与の差押は、債権者が申立てた請求額が完済するまで続けられます。そのため、給与の差押が半年もの間続くということもあり、債務者としてはとても痛いものだと思います。
また、給与の差押の効力は、債務者が会社を辞めるか、請求された金額を完済するまで有効となります。