合意内容の要件
特定調停では、調停が成立するためには申立人である債務者と、相手方である債権者の双方の合意が必要となっています。
そして、その合意は、特定債務者の経済的再生に資するとの観点から、公正かつ妥当で経済的合理性を有する内容のものである必要があると定められています。
特定債務者とは、特定調停を申立てた債務者のことです。債務者が経済的に再生するよう手助けする制度が特定調停であるということをまずは述べ、公平で適切な条件で和解しなければならないということです。
つまり、どちらか一方に著しく有利な条件で和解することを禁じているということです。
一般的に、弁済を受ける債権者は自分のお金を返してもらうということなので、できるだけ多くのお金を返済するよう求めます。
一方の債務者は、債権者に借りたお金はしっかりと返済しなければいけないことは間違いありませんが、今のままでは自分が経済的に破綻してしまい、破綻することで被る債権者の損害を食い止める必要があります。
特定調停では、債務者のためだけにある制度に一見みえなくもないですが、実のところは債権者の財産を守るための制度であると言っても良いと思います。
債権者は、債務者の破綻で被る損害を考慮して、一部の債権を放棄してでも債務者の破綻を防いだほうが得ということです。
もちろん、破綻をしないで済むというのは、債務者にとっても有益な話だと思います。
そのため、特定調停では合意内容の要件として、双方に経済的合理性を有する和解内容としているのです。