1件1件和解する
特定調停では、債権者1社に対して1件の申立てが必要で、10社の債権者を相手に特定調停をする場合には、10件の申立てが必要になります。
申立てられた特定調停には事件番号がつきますが、それぞれの債権者に違った事件番号が振り分けられます。
特定調停は相手方である債権者と支払い方法や弁済額などで和解するものになりますが、相手が消費者金融業者のように貸金業者のときには、ほとんどが電話で和解交渉がされています。
申立てた本人は裁判所に出廷し、そこで債権者と電話交渉をする調停委員の隣で、進行を見守ることになると思います。
特定調停を申立てた数だけ和解しなければいけませんので、仮に債権者20社に対して特定調停を申立てたなら、最低でも20回の和解交渉をしていくことになります。
債権者の数が多くなれば、それだけ特定調停がうまくいかないことが多くなると思います。状況にもよりますが、特定調停では申立てた全債権者と和解しなければいけないからです。
10社のうち9社と和解しても、1社が和解不成立となってしまうと、仮にその1社に強制執行で給与の差押をされると、予定していた収入が入らなくなり、他の債権者と和解した弁済の実行が困難になるからです。
債権者が不当に特定調停での和解を拒否して、強制執行を行った場合には、裁判所に申し出ればその強制執行を防ぐことはできるかもしれませんが、債権者が和解を拒否するだけの正当な理由があるときは注意が必要です。
特定調停は1件1件和解を成立させていかなくてはいけませんので、とても大変なことだと思いますが、それを実現させていくのは専門家である調停委員の仕事になりますので、何も不安になることはないと思います。
ただ、調停委員に対して嘘の申告をしたり、著しく不適当な態度で接した場合には、特定調停はうまくいかないと思いますので、誠心誠意の対応を心がけなければいけないと思います。