調停の前に債務額が確定する
特定調停の短所でもあり長所でもあるのが、調停の前に支払うべき債務額が確定していることです。
特定調停では、各裁判所によって損害金の扱いは違ってきますが、法定利率に従って再計算された残高をまず始めに確定させます。
債権者の意向によってはさらにそこから減額という可能性もありますが、法定利率で引き直された残高よりも低い金額で和解する貸金業者はまずいないでしょう。
その代わり、法定利率に引き直された残高を超えた金額で和解が結ばれることもありません。特定調停で確定された金額に計算間違いがない限り、それに異議を述べる貸金業者はいないと思います。
特定調停の趣旨として、債権者は法定利率に引き直した金額で和解し、債務者の再生を手助けするというものです。
特定調停では債権者の権利がどうのというよりも、まずは債務者の救済が先決になりますので、債権者としてもそのつもりで対応してくるのが一般的です。
支払うべき総額がすぐに確定しますので、和解交渉は毎月の返済額だけを話し合うことになります。任意整理では支払う金額も交渉することになりますので、その分だけ特定調停のほうが交渉が楽になると思います。
それから、毎月の返済額にはできるだけ余裕を持たせておくことが大事だと思います。特定調停で和解すれば、それからは金利を支払わなくても良いので、どれだけ長期の分割払いになっても総支払額は変わりません。
それなら、できるだけ長期の分割払いにしてもらったほうが良いと思います。できれば、返済とは別で積立てをして、何かの不足がでたときの資金にしてください。
仮にその積立金を使うときがなかったのなら、それを使って繰り上げ返済すれば良いのです。くれぐれも、かつかつに毎月の返済額を決めないようにしてください。