裁判所によってかなり違う
特定調停の流れや手続きの仕方については、どの裁判所でもそれほど違いはありません。でも、特定調停の内容自体にはかなり違いがあると言えます。
例えば過怠約款です。ある裁判所では、支払いを2回分怠ったときには完済まで年率26.28%の遅延損害金をつけて一括して支払う、といった過怠約款を用いています。
しかし、違う裁判所では、支払いを3回分怠ったときには一括して支払う、といった過怠約款を用いています。
過怠約款についてあまり経験のない人には違いがよくわからないかもしれませんが、この2つの裁判所の過怠約款には相当な差があります。
支払いを2回分と3回分というのも大きな差があると思います。貸金業者の立場で言えば、3回分ということは3ヶ月未入金ということで、3ヶ月も未入金ならその間に逃走されてしまうというものです。
1ヶ月分なら何かで遅れることがありますが、2ヶ月遅れるというのは異常で、3ヶ月も待っていれば回収できるものも回収できなくなるというのが貸金業者の考え方です。
さらに、遅延損害金をつけることができないということは、債務者がすぐに支払おうが何年も経ってから支払おうが、支払う金額は同じになってしまいます。これは貸金業者にとっては非常に大きな問題です。
このように、裁判所によってはいろいろな方針があり、内容はそれぞれで違っています。また、特定調停が受けるかどうかの基準も違います。
ただ、申立てる裁判所は債権者の住所地を管轄する簡易裁判所もしくは債権者の住所地で多いところの簡易裁判所と決まっていますので、債務者が自由に選ぶことはできません。