申立てる場所
特定調停を申立てる場所は、原則として相手方の住所や営業所などを管轄している簡易裁判所になります。
相手方というのは貸金業者のことです。つまり、借入先である貸金業者の営業所のある住所を管轄している簡易裁判所に、特定調停は申立てるということです。
大手の貸金業者など、インターネットやフリーダイヤルなどで営業所を通さずに借入したときでも、必ず自分の住所から1番近くにある営業所で借入したことになっているはずです。
ほとんどの人が自分の生活圏内にある貸金業者や、貸金業者の営業所から借入すると思いますので、申立てる簡易裁判所もそれほど遠いところにはないと思います。
ただ、この原則に従えば、出張先で借入した場合や少しは離れた地域にある貸金業者から借り入れした場合には、わざわざ遠くにある簡易裁判所に申立をしなければいけないことになります。
しかし、これはただでさえ困窮している債務者にとっては大きな負担となりますので、この原則はあまり尊重されていないというのが普通です。
現実では、借入している貸金業者がもっとも多い地域を管轄する簡易裁判所で、別地域にある貸金業者の分までまとめて申立てるのが一般的です。
実際、私が消費者金融業者で勤務していたときには、その営業所を管轄している簡易裁判所以外の簡易裁判所からも、普通に特定調停の通知が届きました。
何回かは沖縄や東北の簡易裁判所から特定調停の通知が届き、特定調停の和解交渉で、調停委員の方言が厳しくてまったく交渉できなかったという経験もあります。