特定調停の効力を無効にできる
特定調停の効力は、裁判所での和解判決と同一の効力があります。そして、裁判所で和解判決が確定すれば、原則それを覆すことはできないとされています。
特定調停で決定した和解もこれと同じで、決定が確定すれば原則それを覆すことはできません。しかし、これには例外があります。
それは、特定調停のとき、債権者から提出された計算書に間違いがあり、後になってそれがわかったときです。
ただ、特定調停は債務者と債権者が和解することであり、双方がその和解内容に納得しているはずです。
そのため、計算書で書かれている数字が多少違ったと言っても、そのときにはその数字で納得しているのですから、その程度のことでは特定調停の決定を覆すことはできません。
特定調停の決定が覆ったケースは、本当は過払い金が発生していた、または大幅な債務の減額になっていたにもかかわらず、提出された計算書が途中開示で、そのまま和解してしまったというときです。
実際、これまで特定調停を利用して債権者と和解してきた債務者の中には、本当は過払い金が発生していて返済する債務がなかったのに、嘘の計算書によって債務があると誤解して和解した人がとても多いと思います。
自分の記憶ではもっと前から取引していたのに、特定調停のときには最近の取引しか開示されなかったという心当たりのある人は、弁護士に相談すれば過去に決定された特定調停の効力を無効にしてもらえます。
特定調停の効力が無効になると、特定調停で返済したお金の全額を返してもらえ、本当の計算書による残債務を支払うことになります。
本当の計算書で過払い金が発生しているようなら、当然その分も返してもらいましょう。